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  • seike33

心電図で学ぶ、医者の結婚事情



別に皇室ウォッチャーでもなんでもないが、日本人なら誰しも、眞子さまと小室さんの行く末が気になるこの頃。佳子さまの「結婚は一個人の自由」発言も、皇室の新たな時代を感じさせる。


医者も以前は、お見合いや許嫁(いいなずけ)などが多かったのだろうが、最近はどうだろう。


同世代の知り合い医師で、そのように親がはじめから関わるような結婚をしたカップルは、実は私の周りにはいない。学生時代や研修医時代の仲間同士のほか、街コンに繰り出したり、マッチングアプリに登録したり、結婚相談所に登録したりして知り合ったカップルなど、様々である。


かっこいいけどTHE・ADHDで彼女ができず苦戦していた先輩医師は、マッチングアプリで絶世の美女(医療関係者ではない)とマッチング、トントン拍子で一年以内に結婚にこぎつけた。


「彼女は本当に自分の中身を好きでいてくれて・・・」とベタボレする先輩と裏腹に、「彼のどこが好きなの?」と聞かれた彼女は「うーん、顔と職業かな♪」。


ここまであからさまだと、なんかもうほんとにおめでとう、と割り切って祝福したくなる。facebookを見たら、仲良くフロリダのディズニーランドへ新婚旅行に行っていた。二人が良ければそれで良し。

結婚と心電図の関係とは?


先日、初期研修医の子が面白いことを教えてくれた。「先生知らないんすか?結婚って心電図らしいんですよ。」え?どういうこと?「学生結婚のP波。初期研修医でくるQRS波。後期研修医はST波。そして・・・奇跡のU波っすよ!」なにそれめっちゃ面白い。


 そんなことがあったので、私の周りの医者結婚を心電図にあてはめつつ振り返ってみた。


P派:学生結婚


まずP波パターン。私の卒業大学では学生結婚はかなり稀であったが、他大学をみているとちょこちょこいる。学生時代のうちに子どもを産んでいるカップルもいる。


女性医師についていろいろ言われるこの頃、もはや働くまえに結婚・妊娠・出産を経験することは、キャリアの上でも悪くない(双方の家族も含めた同意があれば)。学生のうちから人生のステージで二人三脚してきたカップルは、その後も安泰・盤石なケースが多い印象である。まさに洞調律パターンの極み。

と思ったが、学生結婚してその後、初期研修医で離婚したケースがあったのを思い出した。P波はあるが、QRSには届かず途切れてしまった・・・Ⅲ度房室ブロックパターンとでも言おうか。


学生時代に結婚した同級生の二人は、同じ病院で初期研修をスタート。もともと遊び人だった旦那を、しっかりものの奥さんが寛容に見ていたようだが、働き始めてさらに遊びがエスカレート。それでもなんだかんだ、奥さんのおかげで夫婦として成り立っていた。ある日「なんか最近、夜帰ってこないんだよねー。気分転換に海で寝てるとか言って(海が近い病院だった)。帰ってきたら、海パン洗濯してんの。」奥さん寛容すぎる。


絶対また誰かと浮気してるんだよ、なんてみんなと話していた。さすがにこの相手が、初期研修医の後輩(つまりお互い毎日顔を合わせて働いていた)だったことで、いよいよ奥さんも限界を迎えた。


とある休日、同期LINEグループに「離婚しました」と流れ、そこから研修修了まで、周りがめちゃくちゃ気を使ったのは言うまでもない。卒業旅行も、飲み会も、二人が公衆の面前で顔を合わせることがないよう事前に打ち合わせたようで、どんな時も奥さんしか来なかった。研修修了後の、同期の結婚式でもそうである。ちなみにまだ調停中だとか。


QRS波:初期研修終了後結婚




初期研修で知り合った医師同士や、学生時代のカップルが、初期研修修了と同時に結婚するパターンは定番である。きれいなQRSパターン。同期の初期研修医カップルの結婚式は、みんなで微笑ましく出席した。夫婦でそれぞれ呼吸器内科、循環器内科に進んでいる。


ACLS的に最強のカップル。ちなみに奥さんは、まだ進む科が決まっていなかった時「なんか血が見えるようなさ、そんな科に行きたいんだよね!」と目をキラキラさせて話していた。そんな彼女は研修2年目のとき、当直明けに温泉に行こうとして自家用車でガードレールを大破、自分の勤めている病院にドクターカー搬送され、肋骨多発骨折した。発言も行動も、アクティブすぎるガールである。


女性医師はどうせ楽な科しか選ばない・・・なんて大きな誤解です。今頃、気管支鏡からみえる喀血に興奮しているに違いない。


U波:奇跡の結婚




私が一番笑ってしまった奇跡のU波だが、実はこれ、医者では結構多いのでは?と思う。忙しくて結婚など二の次になってしまった。親の条件が厳しい。などなど。


研修後、私が転職した先に、もうすぐ40代になろうとする独身の男性の先生がいた。優しい性格に顔立ち。声はややデカすぎる時はあるが、ほどよく会話に困らない程度のネタを降ってくれるコミュニケーション能力。やや禿げているのを気にしていたが、前髪でいつもうまくカモフラージュしていたし、1本1本はサラサラで不潔感ゼロ。迅速なLINEのレスポンスと、ほどよく可愛いスタンプ使い。子ども好き。

「いやー普通に結婚したいわー。でもなんか出会いがないのよねー。あとさ、ほら結婚って家どうしの問題もあるじゃない。親もさ、色々言うのよ。あーでも子どもほしいわー。」なんて言っていたのに、ある日のカンファレンス終わりに急に「実は結婚することになりまして・・・」と幸せ満面笑顔で報告されたときはビックリした。


その時私はすでに結婚して子どもも生まれていたが、なんだか自分が結婚したときよりも嬉しく、「やったわね!○○(息子の名前)!!!(嬉)」と叫ぶ母親の気持ちになってしまった。合コンで知り合ったとても素敵な奥さんと幸せそうにしている。奇跡のU波も悪くない。


ほかにも、もはや百戦錬磨みたいな恋愛ネットワークで心室細動パターンを謳歌している先生もいれば、仙人みたいなasystoleパターンの先生もあり。人生色々である。


令和の皇室プリンセスたちも、周りにすべて決められてしまうPacemakerパターンから脱却を試みるのだろうか。今後も、一国民として暖かく見守らせていただきたいと思う。

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