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毎日100人以上の患者さんを診察!地域に愛される飯泉ファミリークリニックを取材しました。



医学生による病院見学・先生インタビューシリーズ。 今回は飯泉ファミリークリニックの飯泉哲哉先生にお話を伺いました。


飯泉ファミリークリニックについて


飯泉ファミリークリニックは、静岡県富士市にある小児科・内科クリニックです。


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名称には、家族(ファミリー)に対する愛情・やさしさをもって皆様の相談にこたえていきたいという思いが込められています。

クリニックには毎日多くの患者さんが来られており、私が見学させて頂いたときには100人を超える患者さんが来院されていました。  地域に愛される飯泉ファミリークリニック。その秘訣について院長である飯泉哲也先生に伺ってきました。


登場人物

飯泉ファミリークリニック 飯泉哲哉 先生

インタビュー学生 武藤康輔 (防衛医科大学校医学部医学科5年) 木本康瑛 (名古屋大学医学部医学科4年)




生活感を感じられる空間に居心地の良さを感じた



――飯泉先生が小児科を志望されたのはなぜでしょうか。

大学で小児科を病院実習で回った時に、小児科が自分らしくいられた場所でした。その時に「小児科が好きだ。」と純粋に思いました。 子どもたちといる空間に居心地の良さを感じ、この空気の中で過ごしたい、自分の人生の時間にしたいと思い志望しました。

――私も実際、病院実習で回ると、小児科はとても楽しかったなと思います。子どもたちが寄ってきてくれて、先生がその子を抱っこしながら一緒にカンファレンスする光景がとてもよかったです。

 小児科のドクターはすごく遊び心があったり、好奇心旺盛だったりする人が多いと思います。ですので、小児科の病棟は、独特の明るさがあります。イベントがあったり、飾り付けがあったりするので、他の病棟にはない生活感を感じることができます。

 例えば、当クリニックでもこいのぼりを壁に飾ったり、処置室に野球チームの名前を付けたりしています。少し病院らしくしないようにする雰囲気は、他の科よりあるかもしれませんね。


スタッフさん手作りの飾り付け



小児科医は病気だけではなく生活環境を"診る”ことが大切だ



――診療を見学させていただいて、先生は診療中に「この前、誕生日だったね。」とか、一人ひとりの患者さんのストーリーを覚えていることが、とても印象的でした。普段の診療では、どのようなことを心がけていらっしゃいますか。


 細かいところによく気が付きましたね。実は小児科医は、子どもたちの健康状態だけではなく、子どもたちの生活も診ているのです。

 お母さんたちが子どもたちを病院に連れてくるきっかけは、遠足やテスト、修学旅行があるのでそれまでに治したいなど、子どもの生活での出来事がきっかけになることが多いです。そのため、子どもたちの生活や環境を診察の中で知ることは必要ですし、そこに医師は興味を持つことが大切になります。

 診察中に「この前の誕生日はどうだった?」と何気ない会話かもしれませんが、状況を聞くことによって、子供たちの生活背景や家庭環境を会話の中で垣間見ることができます。その中で、自分が医師として出来ることは何かを考えます。

 例えば、お母さんに「この子はお薬を飲むのが大変なんです。」と言われたら、「じゃあ、お母さん、今回はお薬なしで治療しましょう。」とか「働いていて、保育園にあずけているので、朝昼晩でお薬を飲ますことができません。」と言われたら。「じゃあ、朝晩だけでよい薬にしましょう。」とか。 生活を聞きながらその家庭に合った治療をします。

 また、お母さん、お父さんは子どもの元気がないととても不安になるので、どうしても悪い方に考えてしまいます。診察の会話で、子供に付き添ってきた親の不安を少しでも解消してあげる。そういったこともとても大切です。

 このように視点を変えると臨床は、すごく奥深いし、とても面白いです。

患者さんの喜ぶ顔が見たくて始めた様々な取り組み


(ハロウィンの様子)

――HPを拝見したのですが、ハロウィンの日は仮装して診療したり、中学生の職業体験などクリニックでは様々な取り組みをされていますよね。何かきっかけがあったのでしょうか。

 こういった企画を行う理由は、シンプルに「患者さんを喜ばせたい」という思いからです。病院って皆さん苦手ですよね。なので、病院に来るのを少しでも嫌じゃなくしたいと思い、どうすれば患者さんが喜んでくれるか、スタッフが楽しめるか、ということを考えながら色々取り組んでいます。

 例えばハロウィンは妖怪ウォッチが流行っていたので、妖怪ウォッチのお面をかぶって診療をしました。始めは、「病院なのに不謹慎かな」と思いましたが、全然そんなことなくて、子どもたちもお母さんたちもとても喜んでくれました。妖怪ウォッチを知らないおじいちゃんは、「先生今日どうしたの?」って言われましたが(笑)。まあでも、うちはそういうクリニックでいいかなと思ってやっています。

――中学生の職業体験はいかがでしょうか。

 夏休みは長いので、お母さんたちも子どもたちも手持ち無沙汰しているかなと思ったことがきっかけです。また、職業体験することで、子どもたちも患者さんも喜ぶかなと思いました。まあ、職業体験した子どもたちが将来看護師になってうちで働いてくれたらなんて、ちょっと下心もありましたが(笑)。

 実際してみると来院したおじいちゃん、おばあちゃんなど患者さんたちがすごく喜んでくれました。「先生いいことしているね、子どもたちもこんな経験したら、すごく良い子になるよ。」って言ってくれました。

 おじいちゃんが手を出して職業体験の子に「ちょっと、俺の血圧測ってくれない?」って声かけている光景はとてもで、やって良かったなと思います。

 今後も、医療分野に限らず、様々な分野の専門家の方とクリニックが提携して、何か健康に役立つこと、患者さんにとって良いことをしていきたいと思っています

患者さんとスタッフで作るクリニックの雰囲気作り




――今日見学させていただいて、スタッフさんの雰囲気がすごくいいなと思いました。スタッフ皆さんが生き生きしていて、仕事を楽しみ、皆が同じ方向を向いているなと感じました。秘訣などあるのでしょうか。

 クリニックの雰囲気は患者さんとスタッフが作っていくものだと思います。例えば待合室で泣いている子どもがいた時に、「大丈夫、泣いてもいいんだよ。」と言ってくれる患者さんがいると、柔らかい雰囲気になりますよね。それは、僕たちが手を加えて作ることはできません。

 当クリニックのスタッフはみんな「子どもが好き」というのは共通していますが、得意なことは人それぞれ違います。子供たちにしゃべりかけるのが得意な人もいれば、お母さんの話を聞くのが得意っていう人、子供たちと体を使うことが得意な人などさまざまです。 スタッフには自分が得意なことをここで活かしてほしいと思っています。みんなが、向かう方向、ベクトルが一緒だったら、細かい部分は逆に一緒じゃない方が面白いと思います。

 ただ、方向性、ベクトルは大切ですので、そのベクトルの確認をするために5年ぐらい前からワークショップを始めました。 

 その当時の僕は、患者さんに対してとにかく一生懸命やろうと、患者満足度を上げよう、上げようとしていました。その時先輩に「お前それじゃだめだ。やっぱり患者満足度を上げるのだったら、それ以上にスタッフ満足度を高めなきゃいけない。患者満足度を上げようとするがあまりに、スタッフの満足度をないがしろにしたら、逆に患者満足度は下がるよ。」と言われ、それをきっかけに院内スタッフ向けのワークショップを始めました。




(コミュニケーションワークショップの様子)

 スタッフが参加したワークショプの様子はクリニックの廊下に写真を飾っているので、患者さんもみんな見ることができます。その写真をみた患者さんに、「先生のところのスタッフは皆、生き生きしていていいね。」と言われたこともあります。

「このクリニックの雰囲気が好き。」「スタッフが好き。」と感じてくれるとそういう場所で診察を受けたい、自分の子供もみてほしい。と思ってもらえます。スタッフの満足度を高め、ベクトルを一緒にしていくことはそういう意味でもとても効果的だと感じています。


(廊下に飾られたす研修会の写真)


クリニックを「継承する」ということ



――先生は、お父様からこのクリニックを引き継がれました。お父様と同じ医療を提供することは大変だと思います。​​​​​​​

 今でも父に感謝していることは、父は僕にまかせてくれて、ほとんど何も言わなかったことです。医者はやはり職人なので、自分の技術を子供にも受け継いでもらい、世代が変わっても同じものを患者さんに提供したいと思うものです。親子ですと言いたいことを言えてしまうので、喧嘩になったりする話も周りではよく聞きます。父は本当に「お前が好きなようにやれ。」と言って、全く口出しをしませんでした。自由にさせてもらった分、全て自分の責任なので失敗もしたこともありますが、とても成長出来たと思います。

 開業医の高齢化が進み、「継承」という問題を抱えるクリニックも出てきました。自分の経験上、「継承」に大切なことは、先輩ドクターが若いドクターに敬意を払って任せるということ。ある程度の一線をちゃんと退くことが出来ることだと思います。

 医師が今から小児科のクリニックを開院することは、もしかすると少子化の問題もあるので、少し大変かもしれません。ですので、今ある小児科クリニックを血縁関係問わず引き継いで継承することは若い先生にとってもとても良いことだと思います。

 開業医と聞くと、なんとなく大きな病院で部長職を務めた人が地域に戻って行うイメージかも知れませんが、もっと若い医師が早い段階で地域に出て、コミュニティドクターとして活躍してほしいと思います。


飯泉先生の魅力に惹かれて、あっとういう間に時間が過ぎていました。 「患者さんの満足度を上げるためにスタッフの満足度を上げる」ということ 「医師は患者さんの病状だけではなく、生活を見ることが大切だ」ということとても勉強になりました。

とても貴重なお時間を頂き、飯泉哲哉先生、誠にありがとうございました。

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